1.金市朗の凍結製品取扱い
株式会社金市朗は居酒屋の運営と水産卸事業を1994年より運営しております。
青森県八戸市の福島漁業株式会社様が、2005年~2010年あたりに行われた農林水産省主導の「がんばる漁業補助制度」で船上凍結機能を持った船を建造したことを受け、そこで製造した「ブライン船上凍結刺身用サバ」を金市朗店舗で提供、外販したところ、非常に品物が良く、大好評商材として確立しました。
2.東洋漁業との取組
長崎県平戸市の東洋漁業株式会社では、2016年より同じく農林水産省主導の「もうかる漁業補助制度」を利用し、
第11源福丸を建造し、ブライン凍結刺身用サバの試験製造を行っておりました。
私(渥美)と源福丸との関係は、源福丸に45年乗船し2017年引退した第81源福丸の前漁撈長、高橋豊さん
と旧牡鹿町谷川浜で同郷という縁、また現第81源福丸漁撈長、高橋哲典さん、機関長とも同郷という縁から非常に懇意にさせていただいておりましたので、東洋漁業との取組を進めました。
その結果、ブライン船上凍結刺身用サバの製品製造指導、選別指導を行ったことで、順調に製造、販売することが出来ました。
3.今後の取組と船上凍結サバの特徴(金華さば刺身含む)
サバを生で食す際に発生するリスクである、アニサキス等の寄生虫、ヒスタミン中毒を完全に抑制できる画期的なオリジナル製品で、2020年で販売して14年目になりますが、1度も事故のない商材です。
血合いの色目、脂質も認められ、うまい鮨勘様(毎年10t受注)はじめ、青森、秋田、栃木、東京、大阪、
岐阜、愛知の寿司屋、居酒屋を中心に販路も拡大しております。
4.兼井物産との取組
東洋漁業との取組が軌道に乗り、2019年より兼井物産で取り扱うブライン船上凍結キハダマグロ、カツオに関しても取組を行うこととなりました。これまで静岡県焼津漁港、鹿児島県枕崎漁港、山川漁港で水揚し、全量市場に上場していた漁獲物の一部を、船主引き取りとし、金市朗に販売する仕組みを構築いたしました。
5.取組の仕組みづくり
81号、18号が漁獲した魚を焼津魚市場が魚種、サイズごとに選別し、源福丸船主枠として弊社金市朗が購入します。
通常、漁獲物は必要のない魚まで購入するのがルールですが、船主枠を活用することで必要なサイズを必要な分購入できる仕組みを構築しました。
長年変化の無かった市場の流通において、上記の仕組みを構築する上で、源福丸社長をはじめ、役員、現場の方々にも大変ご尽力いただき、弊社としても苦労をいたしましたが、最終的に販売先の要望にお応え出来るようなビジネスモデルとすることが出来ました。
3.取組の所感
まず漁業者と末端の消費者が思ったより距離があると感じました。
船員は満船にして1日も早く帰港し、水揚げを繰り返すことを念頭に考えており、水揚げ後、自分たちが獲ったカツオ、マグロを誰が買い、そこからどこにどうやって末端の消費者に行くのかわかっていない状況でした。
そこで、前文でも申し上げた通り、船員の70%が私と同じ牡鹿半島出身というのもあり、彼らが獲った魚を宮城県を中心とした東北地方に販売できたら、船員のモチベーションも変わってくるだろうし、私も嬉しいと思い、弊社居酒屋店舗、また納品先に案内するイメージが湧きました。
少しずつ販売していく中で、秋田県 伊徳様、宮城県内のウジエスーパー様、あいのや様に源福丸のキハダを置かせていだだき、漁撈長、機関長、通信長、また社長を御案内した際は、予想以上に喜んでいただき、大変満足され、「良い物を作ろう」と話していました。